前回は不動産の種類(種別と類型)の内、不動産の種別について述べた。
今回は残りの不動産の類型について述べる。
不動産鑑定評価基準によれば、「不動産の類型とは、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて区分される不動産の分類をいう。」と定められている。
不動産の類型には大きく分けて『宅地』と『建物及びその敷地』があり、それぞれ以下の通り細分されている。
『宅地』
更地、建付地、借地権、底地、区分地上権等に分けられ、各々下記の通り定義づけされている。
●更地とは、建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。
●建付地とは、建物等の用に供されている敷地で建物等及びその敷地が同一の所有者に属し、かつ、当該所有者により使用され、その敷地の使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。
●借地権とは、借地借家法(廃止前の借地法を含む。)に基づく借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)をいう。
●底地とは、宅地について借地権の付着している場合における当該宅地の所有権をいう。
●区分地上権とは、工作物を所有するため、地下又は空間に上下の範囲を定めて設定された地上権をいう。
『建物及びその敷地』
自用の建物及びその敷地、貸家及びその敷地、借地権付建物、区分所有建物及びその敷地等に分け
られ、各々下記の通り定義づけされている。
●自用の建物及びその敷地とは、建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であり、その所有者による使用収益を制約する権利の付着していない場合における当該建物及びその敷地をいう。
●貸家及びその敷地とは、建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であるが、建物が賃貸借に供されている場合における当該建物及びその敷地をいう。
●借地権付建物とは、借地権を権原とする建物が存する場合における当該建物及び借地権をいう。
●区分所有建物及びその敷地とは、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分並びに当該専有部分に係る同条第4項に規定する共用部分の共有持分及び同条第6項に規定する敷地利用権をいう。
以上のように不動産の類型は、評価しようとする不動産をどのような利用形態で評価しているかを特定するものであり、評価書を読み解くに当っては、まずこの部分を十分理解しておかなければならないものである。