不動産鑑定評価書において登場する地域の概念には大きく分けて次の3つがある。
①近隣地域
②類似地域
③同一需給圏
今回はこの①近隣地域について述べる。
不動産鑑定士が鑑定評価を行う際の拠り所となる不動産鑑定評価基準では以下の如く定義づけられている。
近隣地域とは、対象不動産の属する用途的地域(用途的観点から区分される地域)であって、より大きな規模と内容とを持つ地域である都市あるいは農村等の内部にあって、居住、商業活動、工業生産活動等人の生活と活動とに関して、ある特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを示している地域をいい、対象不動産の価格の形成に関して直接に影響を与えるような特性を持つものである。
つまり、対象不動産の価格の形成に関して直接に影響を与えるという意味で、実務上は対象不動産の半径何mであるとか、何丁目何番街区であるとか、接面街路沿いの東西各何mであるとか、ひとかたまりの非常に狭い範囲で捉えられることが多く、上記3つの地域概念の中で最も狭い範囲として把握される。
特に住宅街にあっては、住環境をはじめ、駅接近性や街路条件が購入者の選考性に大きな影響を及ぼすため、これらが共通している(近似している)範囲で把握される傾向にあり、また、商業地にあっては、店舗の構成や建ち並び状況をはじめ、人の流動性等が近似している範囲で把握される傾向にある。
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②類似地域について
③同一需給圏について