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2013.04.18
固定資産税の減額 土地

さて、固定資産税の減額って可能なのでしょうか?

今回はまず土地についてその課税評価概要を考えてみたいと思います。

土地の固定資産税の基となる固定資産評価額は、主に我々不動産鑑定士が評価を行いますが、この評価を行う地点としては、当然のことながら全部の不動産を個別に評価しているものではありません。

評価地点としては市町村単位でその面積の大きさ等によっても異なりますが、概ね数10地点から数100地点を代表的に評価しているに過ぎません。これによってまず当該地点の標準的な価格(各不動産に係る形状等の個別性を反映しない飽くまでも標準的なものです)が決定します。
因みに当該価格は正式な鑑定手法に基づいて求められたものです。

そこで、固定資産評価額は時価(上記の鑑定評価格)の7割水準を目途にすることとなっておりますので、鑑定評価格に掛け目0.70を乗じた価格が、その前面路線に割り当てられ、これが固定資産路線価(一般的に知られている相続税の路線価とは異なります)として公表されます。

では、鑑定評価していないその外の路線についてはどのように決定しているのでしょうか?

それについても、不動産鑑定士や航測会社等が、上記の評価地点とのバランスをとって価格を決めています。但し、この場合は正式な鑑定評価に拠っているものではなく、システマティックに簡便な方法で決めております。

こうやって各市町村の概ね全路線に係る固定資産路線価が公表されます。

以上を踏まえますと、固定資産路線価については7割水準にあるものの、概ね時価を反映するものとなっております。

しかし、ここで問題があります。

実際の各不動産に係る形状等の個別性がどのように反映しているかという点です。

つまり、これら個別性に関しては固定資産評価基準という規定に基づいて、各市町村の判断に委ねられており、この個別性を加味したものが最終的に固定資産評価額として固定資産台帳に登録されています。

もっとも当該固定資産評価基準では、間口幅、奥行の長さ、形状等の個別性が反映するように規定されており、殆どのケースにおいては市場実勢に近い形での個別性が反映することになるのですが、場合によっては(例えば極度の不整形、無道路地、大規模地等)、当該固定資産評価基準が市場実勢を全く反映していないこともあります。

では、このような場合に固定資産税の減額は可能なのでしょうか?

結論から言うと、いくら市場実勢と乖離していても固定資産評価基準という謂わば公のルールに基づいて評価していることや、元々0.70の掛け目で低廉に評価されていることから、減額は難しいものと思われます。

ただ『難しい』と表現したのは飽くまでも一般論であり、完全に市場実勢を反映しないまでも、中には減額してもらえるケースもあるようですので(特に0.70の掛け目を考慮してもより低廉なケースなど)、市町村に掛け合うことも重要であると考えます。

なお、より市場実勢に近い評価基準の整備は必要と思われますが、そもそも個別性が強い個々の不動産について、一律的な基準で以って評価しようとするのが根本的に限界があり、一方では鑑定士等が個々に詳細な評価を行うことも予算的に困難でありますから、問題は奥深いように思えてなりません。

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